ミノムシ(蓑虫)の親は何?ミノムシの蓑(ミノ)は毛糸や布でも出来る?
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最終更新日:2019/09/03
生活
ちょっと寒くなって来たらうちの猫はバスタオルにくるまっています。
立派な毛皮を着ているのに寒がりなんですね。
寝ている姿に上から掛けてあげたら寝返りを打って巻き込んでしまい、まさに冬の蓑虫(ミノムシ)のようです。
そう思いながら、「近頃はあまりミノムシを見かけなくなったなあ~~」
冬の枯れた木の枝から北風に吹かれてブラブラと揺れる様子が懐かしく感じました。
小さい頃はミノムシを捕まえて両手でモミモミしながら中の幼虫を出して遊んだのを懐かしく思い出しました。
「ところでミノムシって何の幼虫なんだろ??」
- 何で糸で木にぶら下がっているんだろ?
- エサは何を食べているのだろう?
- 成虫になったら何になるんだろう?
- ミノムシの家は何でも出来るのだろうか?
- あの糸は何なんだろう?糸の強さは?
小さい頃は気にもならなった事が今頃になってミノムシを何にも知らない事に気が付きました。
◇
蓑虫(ミノムシ)は蛾の幼虫だった
日本に40種類ほどいるミノガと呼ばれる蛾(ガ)の一種なんです。
夜になると蛍光灯の灯りや、街路灯・コンビニエンスストアの看板灯の灯りに寄ってくる蛾の幼虫なんです。
さほど小さくも無く、幼き頃は家の中に飛び込んで来たら「カブトムシ?」って間違うくらいの大きさなんで捕まえようとするのですが、カブトムシやカナブンと違うとわかった瞬間から「ギャー―!!」悲鳴と同時に嫌われ物に変身です。
でも・・・・
よくよく調べてみたら可哀そうな人生なんですよねえ・・・
このミノガと呼ばれる蛾たちは、成虫になって飛び回るのは雄(オス)だけなんですよ。
メスのミノムシは成虫になってもあの姿のままなんです。
脚も羽も触角もなければ、目も口もないウジ虫状態で、一生を通してミノの外に出ることはありません。
一生を木にぶら下がり、成虫になってからは、夕方になると蓑の下から頭を少しだけ出して、そこからフェロモンといわれる匂いを放出してオスを誘うんです。
その匂いを嗅ぎつけたオスの蛾は何百メートルも離れていてもその匂いを嗅ぎつけて交尾に集まるんです。
交尾が終わったメスはその場で卵を何百個も産み、しばらくすると地上に落ちて死んでしまいます。
枝から落ちていたミノムシの蓑は卵を産んで死んでしまったメスの残骸だったんですね。
オスはオスで又可哀そうな運命なんですよ。
成虫となった雄は口さえない状態で繁殖のために雌を求めて飛び回り、交尾を終えて一生を終えるんです。
何のための人生なんでしょうか・・・・・
そんなことも知らずに、両手でモミモミしながら中の幼虫を取り出して遊んでいた自分が何と恥ずかしい事やら・・・
あの頃のミノムシさん 「ごめんなさいね」 m(__)m
◇
何で木の枝にぶら下がっているのだろう?
簑の中で生まれた幼虫は糸を垂らして風に乗り飛散し、樹木の葉を食べて成長しながら簑を造って木の枝にぶら下がり、簑の中で越冬する事となるそうです。
葉が落ちた木から木へと移動するためにブラブラと揺れていたんですね
又、移動の際に落下するのを防ぐのに糸を出しているという説もあります。
ぶら下がって越冬するのはアリとかの外敵から身を守る目的もあるみたいです。
◇
ミノムシの餌は何だろう?
ミノムシとなる代表種のオオミノガは、雑食性で、バラ科、クルミ科、ブナ科、クワ科などの様々な樹種の葉を食べます。
一匹で木が枯れる程の食欲はありませんので大量発生しない限り甚大な被害にはならないみたいです。
ミノムシの一生を考えたら少しは堪えてやってもいいかなあと思います。
又、最近ではミノムシ自体を見ることがあまりありませんよね。
実は外来種のオオミノガヤドリバエという寄生バエが原因で、1990年代後半からオオミノガは激減しているんです。
今では絶滅危惧種に選定されているんです。
それに木を守る為に薬剤をまいたりする事がミノムシや他の虫にも影響しているのではと思っています。
◇
ミノムシの蓑(みの)は何ででもできる??
ミノムシの蓑は昔の人の雨具だった蓑から名前が付いたんですよ。
時代劇なんかで雨の日に背中に蓑(みの)で作った雨がっぱみたいな奴の事です。
小さな頃はよくやりませんでしたか?
毛糸くずや布切れ、小さく切った色紙とミノから出したミノムシを一緒に入れておくとカラフルで綺麗な蓑を作りますよ。
木くずや葉っぱの代わりになるものなら何でも利用して蓑を作ります。
でも、時期があって6~8月の夏から秋にかけての時期しか作りませんね。
孵化、成長の過程で葉っぱを食べながら脱皮を繰り返し、段々と体と蓑を大きくしていくからだと思います。
◇
あの糸は何なんだろう?糸の強さは?
小さい頃、ミノムシを引き出し、ミノムシの蓑を破こうとして中々破り切れずにハサミで切った思い出があります。
毛糸で蓑を作らせる積りでやった事で決していじめや意地悪ではありませんよ。
ある研究機関の発表ですが、太さは人間の髪の毛より細い0・01ミリほどの大きさです。
発表によると、研究を重ねた結果、ミノムシの糸の切れにくさが、カイコの糸の5倍、オニグモの糸の2倍あることが分かりました。
分解しはじめる温度は340度と天然繊維の中では高かったという事から、強度のある繊維強化プラスチック(FRP)をつくることもできるし、航空機の機体やゴルフクラブ、防弾チョッキなどにも使える可能性があるそうですよ。
こう見たら子供の手で引き裂こうなんて到底無理な話ですね。
あの小さいガの幼虫からそんな凄いものが吐き出されているなんて・・・・
自然界の生き物の世界は凄いですねえ
◇
まとめ
寒くなって家の猫がタオルに包まっている所からミノムシの意外な凄さが判りました。
又、あんなに沢山見ていたミノムシもいつの間にか見かけなくなったと思っていたら、絶滅危惧種になってたなんて・・・
今から先は、もうミノムシのカラフルな家作りの実験は出来ないのかと思うと、何か切ないですね。
散歩中やウオーキング中に木の枝にぶら下がるミノムシさんを見かけたらこんな悲しい一生を終えるんだと思いながら観察してみて下さい。
とは云いながら、虫が嫌いな人にはやっぱり只のグロテスクな生き物にしか見えないのかもね。
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